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「アトム」作って脳を解明する
川人光男が拓く最先端ロボットの夢
編集部 内村直之
◆人の動きをする「人造人間」
動いている彼に会うのは、初めてだった。
京都・けいはんな学研都市のATR脳情報研究所の一室。そこで、川人光男に身長155センチ、体重85キロのヒト型ロボット「CB-i」を紹介された。「ヒト型」とはいうものの、体中の金属製骨格はむき出し、動力源である油圧チューブが手足胴体のあちこちに張り巡らされたその姿は、やはり「人造人間」という方がいい。アトムとはほど遠い......。
「バットを振らせてみますか」。研究員の玄相昊さんがおもちゃのバットを両手で握らせると、コンピューターから命令コマンドを入力した。すると、CB-iは構えては、びゅん、構えてはびゅん......という動きを繰り返す。驚くほど速いまるでヒトのようななめらかなスイング。ボールが来れば、コースを予測して当てることもできる。
「今度は歩かせてみましょう」 直立姿勢にして、片足ずつあげて足踏み。これは機械の動きではない。じたばたと地団駄を踏むヒトそのものである。
◆人間の脳と同じ仕組み
「このロボットには、学習機能が組み込んであるんです」
練習の末、このロボットの「脳」には、自分の小さな「模型(モデル)」が備わるようになり、それが状況に応じて「こう動けばいい」「ああいうタイミングにすればいい」と判断できるようになったのだという。
「これは人間の脳の仕組みと全く同じと考えられます」
川人が脳を理解しようとする枠組みはシンプルだ。
「機械を作って、脳と同じ方法で脳の機能を実現できれば、脳がわかったことになる」
という。いや、そういう方法しか、脳をわかる方法はないのだ、とまでいう。
川人らは脳神経系で見つかっている歩行リズムをつくる回路CPGを再現して、ロボットを歩かせた。これがCB-iのヒトらしい歩き方を生んだ。川人は自らを「ロボット工学者」とはいわず、神経科学者だという。彼の科学は、日本独自、彼のオリジナルである。それはどんなふうに作られたのかーー。

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