2009年08月31日

犬を殺さないドイツの常識

犬たちの「天国と地獄」

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編集部 太田匡彦


◆恵まれた施設・スタッフ

ベルリン市中心部から車で約20分、住宅街に隣接して突然、緑あふれる空間が現れる。

「静かな環境、たっぷりの採光、そして十分な遊び場」

それがここの売り。

サッカーコート約30面分もの敷地内に人工の池を配し、管理が行き届いた芝生を敷き詰め、外観を白系に統一された建物が余裕を持って並んでいる。

人間が住む高級マンションの話ではない。ここは動物保護施設「ティアハイム・ベルリン」。元は1901年に設立された施設だが、2001年に約50億円かけて建て替えられた。

犬たちは庭付きの個室で思い思いに過ごしている。明るい日差しの下で昼寝をしている犬もいれば、屋内でエサを食べている犬もいる。床暖房が完備されているから、厳しいベルリンの冬でもこごえることはない。

順番に数匹ずつ、直径約50メートルの円形ドッグランに出してもらえる。ほかの犬との追いかけっこを楽しみ、おもちゃで遊び回る。ここでの暮らしに退屈することはないし、運動不足とも無縁だ。約100人のスタッフが世話にあたり、病気やケガをしたら十数人いる獣医師がすぐ治療する。かみ癖やほえ癖があればしつけも施される。

そんな日々を送りながら、新たな飼い主がやってくるのを、犬たちは待つ。期限はない。

「犬を見に行こうか」

犬を飼いたいと思うドイツ人がそう考え、まず目指すのがここティアハイムだ。取材で訪れた5月中旬の日曜日も、多くの来訪者が犬を見て回っていた。

「いつも眠そうにしている。この犬は性格がよさそうだ」

「このくらいの大きさなら家でも飼うことができる」

家族で意見を交わしながら、1匹ずつ檻ごしに見ていく。

日本のペットショップで目にする、子犬を抱えた子どもが「かわいい!」と歓声をあげるような場面には出くわさない。捨てられた成犬を、家族として迎え入れることが可能か、あくまで冷静に検討する場なのだーー。

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