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入社10年目の進化する誇り
就職氷河期が運命づけたそれぞれの道
編集部 太田匡彦 写真 小暮 誠
「誰がいったかではなく、何をいったかで決めよう」
木村敏晴さん(32)は今年6月、社会人になって10年目にして、外食大手ワタミの取締役最高財務責任者(CFO)に就任した。いま社内でそう呼びかけ、創業者の渡辺美樹会長による「ワンマン経営」からの脱却を目指している。
「渡辺の存在は本当に大きく、尊敬しています。ワタミの理念もすばらしくて、この会社は必ず日本を良くできると思う。ただずっと存続していく会社にするためには、渡辺からの権限委譲を進め、それに合った社内制度を作り上げる必要があります」
◆コンサルからワタミへ
新卒で入ったのは外資系コンサルティング会社だった。数カ月単位でプロジェクトを回し、クライアントの企業価値を高めることだけを考える。ある企業の提携交渉にかかわったことが一つの転機になった。最終的に1兆円規模の案件となり、会社にとっても大きな成功を収めた。だが、そこに感動がなかった。
「企業価値の向上が本当に大切なことなのかわからなくなった。30歳を機に、自分が心底意義を感じることだけを仕事にしたいと思った」
そんな思いでいた時に出会ったのがワタミだった。農業事業を手がけたいと思っていたのに加え、「地球上で一番たくさんのありがとうを集める」という素朴な理念が心に響いた。
求人もないのに、パワーポイント20ページ分のビジネスプランを添えた履歴書を、人事部に送付した。渡辺社長(当時)直々の面接で「権限の明確化と委譲が必要です」などと説いた。2008年2月、8年間在籍した外資系コンサルを辞め、ワタミに入社した。こう振り返る。
「勝ちたい、認められたいとばかり思っていた。それがふとむなしくなった。いまは理念を仲間と実現していく、そのために仕事ができるのがうれしい」

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