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建て替え不能EDマンション
スラム危機100万戸の「看取り」
編集部 山下 努
◆絶対高さ制限の導入で「既存不適格」
都道に面した敷地に聳え立つ30階建てのタワーマンション。昨年2月に完成したばかりだが、すでに「既存不適格」の烙印を押されている。生まれながらにして違法状態にあるのだ。
この地域では2006年、都道に面した商業地区の建物の高さを一律40メートルに制限する「絶対高さ制限」が導入された。このマンションの高さは約100メートル。本来なら建てられないのに、規制が実施される直前に建築確認が申請され、パスしてしまった。業界でいうところの「駆け込み申請」である。
都心では、1990年代後半から2000年代前半にかけ、規制緩和によりタワーマンションが乱立した。付近住民とのトラブルが多発したため、04年ごろから自治体が相次いで導入したのが絶対高さ制限だ。
既存不適格物件といっても、すぐに改修や取り壊しに着手する必要はない。問題が表面化するのは、このマンションが老朽化して建て直しが課題になる何十年か後だろう。自治体によっては「1回に限り現状の高さで建て替えてよい」といった救済措置を設けている。
だが「既存不適格のマンションが建て替えられない」という話は、決して絵空事ではない。マンションの寿命は早ければ30年を過ぎるとやってくる。この間に法令改正により、絶対高さ制限だけでなく、容積率、建ぺい率、道路や隣地などとの関係で課される斜線規制、日影規制などが強化され、気付かぬうちに違法状態になっている可能性は十分にあるのだ。
◆構想から完了まで10年以上
マンション管理大手の大京アステージの黒住昌昭会長(高層住宅管理業協会理事長)は、
「高齢の居住者の方から建て替えの合意を得るのは、介護や福祉と似た面があります」
と話す。最初は建て替えたくない人が多く、何度も話しかけて親しくなってからでないと、話すら聞いてもらえない。複雑な権利調整や資金の話まで持っていくには、とにかく時間がかかるというのだ。
ようやく計画づくりが進んだとしても、建て替え決議で所有者の5分の4以上の賛成を得なければならない。必ずといっていいほど「まだまだ住める」という反対意見が出る----。

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