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「繰り上げ当選介護」の悲哀
長男嫁の代わりに次男妻が娘が…
ジャーナリスト 太田差惠子 編集部 古川雅子 写真 今 祥雄
このまま義兄はシングルなのかしら......。ということは、両親の介護は、実質ワタシが?
看護師のミカさん(39)が、結婚当初からかすかに抱いていた予感は、的中した。
夫は次男で、40代後半の長男は独身。ミカさんは、1年ほど前から車を走らせて、自宅と夫の実家を何度も往復している。片道3時間弱はかかる。
昨年義母(73)が転倒し、腰椎圧迫骨折で入院した。その矢先、義母と同い歳の義父がショートステイしていた有料老人ホームから呼び出された。 「全く食べず、体が弱っています。今週いっぱいくらいで病院に移ってくれませんか?」
2日後、ひとりまた車を走らせ、ショートステイ先から義父を引き取り、病院に連れて行った。
◆独身の義兄は音信不通
義兄は普段から音信不通で、ミカさんは結婚以来8年間、一度も会ったことがなかた。長男に連絡がとれず、義父母の介護・入院施設からの「緊急連絡先」は、いつもミカさんの夫に。結局、ミカさんにお鉢が回る。
義父母の介護保険申請など、手続きのたびに駆けつけるのもミカさんだった。
義父の入院後、診断された病名は、思いもよらず悪性リンパ腫だった。そのまま入院した義父は、半月後に急逝した。
義兄と初対面したのは、義父の亡くなる2日前。説得して、なんとか義兄に喪主を務めてもらった。
父親の危篤、そして死という家族の節目を取り仕切るのは、本来なら実の息子たちの役目だろう。なのに、死後に行う役所などの書類手続きには、義兄も夫も手をつけなかった。男たちは基本「スルー」の姿勢なのだ。次男の嫁である自分に、すべては「繰り上がる」。
義父の死後、もはや独居は難しいと判断したミカさんは、義母をケアハウスに移す準備にも奔走した。
高齢社会をよくする女性の会代表の樋口恵子さんによれば、長男優先の原則が崩れ、次男以下に親を託す介護の「繰り上がり当選」は珍しくなくなってきたというーー。

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