2009年11月29日

産まないかもしれない私

出産礼賛時代の自己防衛

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編集部 木村恵子 写真 篠塚ようこ


◆おめでた報告に動揺

こんなに動揺するとは思っていなかった。

外資系メーカーの技術職で働くミカさん(39)は、同じ年で米国本社に勤務する日本人女性から、1年ほど前、

「子どもができたのよね」

とあっけらかんと言われた。裏切られたような気分だった。

彼女は世界各地に出張をして会議でも積極的に発言し、自己アピールも熱心だった。深夜にもメールが返ってきて、いつ寝ているのだろうと思うほどだった。仕事や出世にしか興味がないと思っていたのに......。

勝手に「産まない同盟」かと思っていた。私もこれまで何となく産まなかったけど、別に産まない主義ではない。彼女と私の差は一体何なんだろう──。

ミカさん自身、「産まない」理由は見あたらない。

仕事だけをバリバリやりたいなんて、全然思っていない。最近は、不況の影響で、コストを削減して利幅を伸ばすことばかりを会社から要求される。ギスギスした職場環境から逃げ出したいくらいだ。

夫とも仲はいい。一緒に食事にも行くし、共通の趣味のジャズを楽しむ。だからと言って、夫婦二人だけの生活を満喫したいわけでもない。

●手放せない「正社員」

だが、振り返ると「産む」ことに踏み切る格別な理由もなかった。

29歳で結婚したが、別の外資系メーカーに転職したばかりで、出産なんて考えられなかった。その会社では1年で担当部署が解散。仕方なく就職したのは、古い体質の日本企業。女はアシスタント的に扱われる状況に耐えながら、転職の機会をうかがった。4年前に今の会社から声がかかった。日本では一度手放したら二度とつかめない「正社員」という立場を、細々と保ってきただけだと思う。

「確信的に産む理由も、産まない理由もない中で、なんとなく『仕事が忙しいし』と思うことで、結論を先延ばしにしてきただけなんです」

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