2010年02月28日

マーケを捨てて増収増益

POSより客の声を聴け ムダを承知の品揃えが利益生む

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編集部 山下 努、大波 綾


約1万平方メートル。3階建ての吹き抜けの店舗に入ると、天井のファンがゆったりと回り、草花があふれている。ふと目を留めると、イタリア製の大きな白い陶器製の植木鉢がごろり。首都圏にはあり得ない異空間がそこにはあった。宮崎県都城市に本社を置く大型ホームセンター「ハンズマン」だ。

2代目社長の大薗誠司さん(41)が「自社で扱う商品だけで家を建てた」と豪語するように、実に20万点のアイテムが揃っている。同業平均の約5倍だ。

◆紙の山が生み出すヒット商品

吉尾店にほど近い平屋の小さな本部社屋の社長席の隣には、無造作に積まれたA4サイズの紙の山があった。

「これがハンズマンのお宝の山なのです」

大薗さんが毎日のように目を通す紙の山の中身は、客からの商品リクエストだ。わずか9店舗ながら、顧客の声を5年分集めると十数万通にものぼる。

「ピーピー音がしないピーピーケトルを置いてほしい」

要望には、そんな笑える"難題"も数多く含まれるが、マニアックな要望そのものがハンズマンの原動力。「顧客の気まぐれが新しいヒット商品を作り、飽きがこない店を作る」との信念がある。

◆ハンズマンの個性

「POSデータは過去の売れ筋情報に過ぎない。それを集めてどうするんですか」(大薗さん)

ハンズマンにとって、POSデータへの依存は、店の個性を消し、過去の売れ筋にこだわってライバルと同質化し、価格競争に巻き込まれるだけ。「これからの客」が欲しい商品のデータは、社長席の隣の紙の山にある。

2000年、株式を上場した際には、アナリストから「無駄な在庫が多い」「人件費がかかりすぎ」「もっと多店舗展開すべきだ」と酷評された。どれもマーケティングの教科書から大きく外れていたからだ。だが、最近は「個性を伸ばしてほしい」という評価に変わったーー。

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