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「学歴下降息子」増える
20代「高卒起業家」の履歴書
編集部 澤田晃宏 写真 今村拓馬
まだ、幼稚園児だった。
「家業はあるけど、家業じゃない。お父さんの仕事を、あなたはしない」
電子印刷物向けソフト開発などの事業を展開する「ヤッパ」の伊藤正裕(26)は、繰り返し母親にそう諭された。
祖父は「伊藤ハム」創業者である傳三氏。父親は傳三氏の三男で元社長の正視氏。そんな一家の一人息子として、両親が40歳を過ぎてから生まれた。
幼稚園からインターナショナルスクールに通った。父親は母校の私立校への入学を希望したが、子どもの教育は母親が舵を握っていた。
日本でいう中学3年生のとき、伊藤は米シリコンバレーの高校に1年間留学した。お坊ちゃん育ちの伊藤を、寮生活で鍛えたい──そんな親の思惑もあった。
帰国した伊藤は、自然とアメリカの大学への進学を考えていた。勉強に集中させるため、母親が学校近くにアパートを借りた。それまでは、往復4時間かけて学校に通っていた。
ある日、アパート近くのコンビニで、レジの店員が客の性別や年齢層などをPOSに打ち込んでいるのに気がついた。
この情報には価値がある。何とか携帯電話上で、こうした情報を集められないか。占いサイトであれば、嘘の情報を入れる人はいない。正確な個人情報が集まり、マーケティングリサーチが可能になる──漠然とそんなアイデアが浮かんだ。
事業計画書を用意し、両親に話をしたのは17歳のとき。
大学進学後のほうが楽じゃないか。父親にはそう説かれたが、最終的には進学か起業かの二つの選択肢を与えてくれた。
創業資金は、大学進学のために親が用意していたお金を借りた。母親が固執した英語も生きている。起業後、伊藤はマーケティングビジネスでは失敗したが、3D技術を持つイスラエルの会社を買収。今やグラフィック技術を核にアメリカに支社を持つまでに成長している。
伊藤は業績が不振だった頃、本気で大学に行っていないから駄目なのかと考え、親に相談したこともある。
「今さら何言ってるんだ」
一蹴されたーー。

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