2010年05月23日

35歳からの早期退職

2009年は上場191社で2万人が退職

20100531_s_1.jpg
編集部 鈴木琢磨、土屋 亮


松下電器産業(現パナソニック)の社員だった安部哲也さん(46)が、都内にコンサルティング会社「EQパートナーズ」を設立して8年になる。

東芝、NEC、NTTなど20社の社員教育を請け負うのが仕事で、4人の従業員を抱える。

松下の早期退職制度に応じたのは8年前、37歳のときだった。応募者の大半は50代で、周囲からは奇異の目で見られた。

会社を辞めたのは、当時社内を覆っていた空気に嫌気が差したからだ。10億円規模の取引で社内決裁をとるのに2〜3カ月かかるのはざらだった。

専業主婦の妻を説得して、独立を決めたものの、退職金は早期退職の加算分も含めて1千万円ほどだった。

起業といっても、人を雇える余裕はない。コンサルティング業に決めたのは、1人で始められ、会社員時代の経験が生かせると思ったから。独学で管理職の仕事術や部下のコーチング術を編み出し、企業が集まる展示会にまめに足を運び、「仕事をもらえませんか」と頭を下げてまわった。

1年目は年収100万円台だったが、2年目以降、どうにか食べていけるようになった。いまの年収は1千万円強。立教大学大学院の非常勤講師として週1回教壇にも立っている。

安部さんの教訓。
「起業1年目は1カ月に50人、新しい人に会うこと。成功するかしないかは、いい人にめぐり合えるかどうか。そして期限を区切ること」

景気は回復しつつある、と言われているのに、多くの退職者を想定し、早期退職制度を実施する企業が絶えない。

東京商工リサーチによると、小泉政権のときの2002年に上場企業200社が早期退職制度を実施したが、09年にはそれに匹敵する上場191社が早期退職を募集、2万人以上が職場を追われた。パイオニア、三洋電機、三越、ソニー......。大手も例外ではない。今年も、4月初旬までに47社が実施を公表し、募集人数は7200人にのぼるーー。

バックナンバー

アエラ最新号

2012年2月13日号

2012年2月13日号

最新号キーワード

食の信念が揺らぐ 銀行窓販保険の魅力と危険 早慶女子「一般職がいい」 女心の複雑 「脱東電」で電気代26%節約 「驚異の儲け」グリーよ どこへ行く 絢香インタビュー 荻原博子の石巻ルポ 今年の花粉症 AKB48「恋愛で脱退」のルールと戦略 

2012年2月13日号
定価:380円(税込)
表紙:松田翔太/俳優

雑誌を購入

デジタル雑誌を購入

から検索
から検索