2010年05月23日

年を重ねてから出合った恋

60歳からの恋愛と結婚

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ライター 斉藤真紀子 イラスト 金子真理


空に星が瞬くころ、あぜ道は暗闇に変わる。車ごと田んぼに落ちないよう、丁寧にハンドルをきる。

医師のユウジさん(59)が、大阪から和歌山に越してきたのは、今年4月。ペーパードライバーだったのが、いまでは器用に狭い道を走る。

ユウジさんの一日は、妻のランさん(48)と母親(84)との朝食で始まる。車でユウジさんが勤務する市内の病院へ向かい、ユウジさんは仕事、妻と母はスーパーへ買い出しに行く。仕事が終わる時間に、妻と母が車で迎えに来る。夜は3人で食卓を囲み、一日の出来事を話す。

4年前、友だちの紹介で、中国国籍のランさんと出会った。話を熱心に聞いてくれる、控えめな物腰にぐっときた。1週間後、デートに誘った。

大阪では病院経営に携わり、週末も休みなく働いていた。ランさんに会いたいという気持ちは日増しに募り、仕事のあと、2人で過ごすのが日課になった。

ひとり暮らしだった母親の様子が気になりだしたのは、ちょうどそのころ。体調を崩して入退院を繰り返し、認識障害がみられるようになった。

定年まで5年。今の仕事を続ければ、母親と過ごす時間を増やせない。でも、仕事はやめたくない。人生を降りたくない。

履歴書を手に、就職活動を始めた。規則的な勤務時間で、家族との時間を持てる、和歌山の病院に内科医の職を得た。縁もゆかりもなかった場所で、20年ぶりに患者と向き合う。

ランさんに、母親との同居を前提で結婚を申し込んだ。ためらわずOKしてくれた。

60代の結婚が年々増えている。厚生労働省によれば、2008年に60代で再婚した男性は6435人、女性は3011人。5年前より14%、10年前に比べると70%も増えた。60代の初婚も増えているーー。

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