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何を求めて働けばいいのか
丹羽宇一郎×香山リカ
構成 編集部 木村恵子
香山 丹羽さんの著書『負けてたまるか! 若者のための仕事論』を読みました。本には、若いうちは「アリのように」働いて失敗や挫折を繰り返せと書かれています。でも、最近の学生や若い世代は、就職活動で徹底的に自己分析し、「私らしさ」が発揮できる仕事でないといけない、と思っています。「アリのように」と言われても、かけがえのなさと無縁の働き方では耐えられない人が多いんじゃないでしょうか。
丹羽 大学を出て3年以内に会社を辞めた人たちとテレビ番組でディスカッションしたことがあります。彼らは「くだらない仕事をずっとやっている人の気が知れない」と言うんです。でも最初から楽しい仕事なんてないし、最初から自分に合った仕事が見つかるなんてめったにない。辛抱して基礎を学んでいるうちに、知識も増える。長く辛抱して基礎を学ぶほど、より大きくジャンプできる。だから、5年、10年は「アリのように働け」と言うんです。でも、辛抱強く5年働ける若者は、だんだん少なくなってきています。
香山 石川遼選手とか若くして頭角を現す人が増えてきて、メディアにもてはやされる。若い人にとって、5年、10年はたぶん、永遠です。基礎体力がつけばいいけれど、このまま沈没して泥に埋もれてしまうと焦る人もいます。
丹羽 大部分がそうでしょうね。私もそうでした。入社して数カ月で、こんなくだらないことをするために会社に入ったんじゃないと思った。この書類を清書しろとか、ただ計算しろとか......。会社を辞めて大学院にでも行こうかと恩師に相談したら、「3カ月で仕事がわかるわけがない。もうちょっと我慢したら」と言われました。
香山 恩師は、丹羽さんだったら我慢すればそのうち頭角を現すという確信があったから、言えたんでしょう。いま、「我慢したらいいことあるよ」と言える大人は少ないと思うんです。先生が言ったから我慢したけど結局ダメだった、と言われても責任取れませんからーー。
丹羽 そんなことはありません。ひたすら一生懸命やれば必ず周囲の人が評価してくれます。「ブタもおだてりゃ木に登る」ではありませんが、人間は、上司が認めて、任せて、褒めるとどんどん成長していく。香山さんやぼくは「努力すれば必ず報われる」と確信を持って言っていくべきですーー。

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