ジョブズがんの真相

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ジョブズがんの真相

2011年10月23日

ジョブズがんの真相

死をきっかけに起きた論争

ジャーナリスト　大野和基（サンノゼ）　編集部　岩田智博

　米シリコンバレーを支えるスタンフォード大学。正門からまっすぐ延びるパーム・ドライブを進むと、正面に美しく、荘厳な教会が見えてくる。創設者スタンフォード氏を偲んで1903年に建てられたメモリアル・チャーチである。

　10月16日夕、その教会に次々と米国を代表するＶＩＰたちが集まった。グーグルＣＥＯのラリー・ペイジ夫妻、ビル・ゲイツ夫妻、ビル・クリントン夫妻、元国務長官のコンドリーザ・ライス、元副大統領のアル・ゴア......。

　５日に56歳の若さで他界したアップル元ＣＥＯのスティーブ・ジョブズの追悼式に参列するためだ。参列者の中で誰よりもジョブズの死を悼んだ人の一人が、デイヴィッド・エイガス医師だった。氏は17日付の大学新聞「ザ・スタンフォード・デイリー」にこう語っている。

「スティーブ・ジョブズは私のヒーローの一人である。彼とは数年来の友人だが、今ここにいることさえもほとんど現実とは思えない。でもこういう集まりでスティーブのことを話す機会があることは胸躍る経験だ」

　エイガス氏は南カリフォルニア大学医学部のがん専門の教授。がんに関するインターネット最大の情報サイトであるOncology.comの創設者で、米国がん協会などから数々の名誉賞を受賞している。

　ジョブズが氏にコンタクトしてきたのは、2003年10月にすい臓がんと診断された後だった。エイガス氏はこう話す。

「私はジョブズががんになる前はまったく彼とは接触がなかった。数年前に彼から連絡があり、何かにつけて相談に乗るようになった。いわば、コンサルタントのようなものだ。だが、それが続くうちに友達になった」

　カリフォルニア州サンタクララ郡が公開した死亡証明書によると、ジョブズは「10月５日午後３時頃、すい臓がんによって引き起こされた呼吸停止によって自宅で息を引き取った」とある。「呼吸停止」の原因は「metastatic pancreas neuroendocrine tumor（転移性すい臓神経内分泌腫瘍）」と記されているーー。

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