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「ふつうの幸せ」に答えはあるか
勝間和代×香山リカ 激論2時間
構成 小林明子 写真 高井正彦
『しがみつかない生き方』 香山リカ
『断る力』 勝間和代
勝間 香山さん、家事は好きですか?
香山 好きじゃないです、全然。
勝間 私、好きなんです。洗濯物がパリッとなったり、お皿がピカピカになったりするプロセスが大好き。自分の行動で物が変化するって、楽しくないですか。だから私、ご飯を食べて「ああ、おいしい」と思うだけで毎日が幸せです。今日も昼間、子どもの友達とお母さんたちがうちに遊びに来たんですが、デリバリーでとったサンドイッチがおいしくて、幸せでした。
香山 ご飯で幸せになれるんだったら、別に仕事で成功したり、資産を増やしたりしなくてもいいんじゃないですか。
勝間 おいしいご飯のためには、そこそこの経済力とスキルが必要です。いいレストランが判断でき、素材を吟味できたほうがいい。使いやすいお玉や粉ふるいを選んだり、レシピを5分短縮したりすれば、子どもと遊ぶ時間も捻出できます。
香山 私は、そんな血のにじむような努力をしなくてもコンビニ弁当で十分幸せです。カツマーと呼ばれる人たちは、勝間さんがご飯のためにこれだけ努力していると聞いたら、「このままではダメなんじゃないか」と思うんじゃないでしょうか。
──香山さんは近著『しがみつかない生き方』で、平凡で穏やかな「ふつうの幸せ」が手に入りにくくなり、満たされない人が増えていると指摘し、大きな反響を呼んでいます。「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルールのうちのひとつが、「〈勝間和代〉を目指さない」。なぜ勝間さんだったんですか。
香山 なんだか申し開きするみたい(笑い)。いわゆる成功者のアイコンとして、カッコをつけて〈勝間和代〉としただけなのですが......。
勝間 どういうアイコンなのかぜひ教えていただけますか?
香山 精神科の診察室には最近、二通りの方がいらっしゃいます。「うつ病かも」と言われて来られますが、背景には派遣切りやDV、多重債務などの具体的な原因がある人たち。まずはシェルターや生活保護の申請に行くべきなのに、「私のせいだから」と過剰に自責的になって精神科に来ます。もう一方は、客観的には普通に生活を営んでいて、仕事も家庭もある女性が、「このままではいけない」と向上しようとして、なぜか朝起きられなくなる。努力し過ぎてうつ状態になるケースです。
勝間 どんな努力ですか。
香山 勝間さんの本を筆頭に、あらゆる自己啓発本やビジネス書を読んで、朝4時に起きろとあれば朝4時に起き、手帳を3冊持てと言われたら3冊持つ。すべてを杓子定規に実行しているようなんですね。それでできなかったら、「私はダメだ」と落ち込む。全部やったつもりなのに、勝間さんみたいになれない、一番の営業マンになれない、とパニック発作を起こしたりします。

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